喫茶店の日々

昨年の夏に開催された、歌手の沢知恵さんとキヨサクさんのコンサートのようすが期間限定で配信されています。よければ是非ご覧ください。 ・・・・・・・・・・・・・・2021年7月に岡山県の長島愛生園にあるカフェ「さざなみハウス …

先日、横浜へ行ってきた。高校時代の友人が携わる本屋で「愛生を読む会」を企画してくれたのだ。読む会を始めてそろそろ一年になる。別に私が多くを説明するでもなく、ただただ機関誌愛生のバックナンバーを好きなように読むだけの無責任 …

一週間が終わってサウナへ行くことは、身体と心が健やかであるための神聖なる儀式だ。サウナで火照った身体を水風呂で冷やして、外の空気にふれながら血液が全身をめぐって落ち着くまで露天風呂の隅にあるベンチであおむけになる。12月 …

初期の頃、外から来るお客さんの気配など一切なくて、清志さん、もしくは他の入所者の方とマンツーマンの時間がほとんどだった。誰かと対峙する時間が長かったからこそ、人に興味を持つようになった気がするが、やっぱりそんな時は誰か来 …

10月、RSKで「メッセージ」が放映された。夏の緊急事態宣言が明けて、世のムードが少し大らかになった頃、3日間かけて丁寧な取材をしていただいた。ありがたいことに喫茶店を中心とした内容で、偶然にもそれはいつもの常連さんたち …

人の記憶を残すことに関心がうまれたのは、間違いなく長島に関わってからである。「今を生きる人が必要としない歴史は消えていく。」ある時、園長が話してくれた一言が今でも忘れられない。そして気がつけば、さざなみハウスという場所が …

今日は人が来るのだろうか…、なんて考えながら毎朝が始まる。かつて隔離の歴史があった長島、アクセスが悪い。そのうえ、あまりに人の姿を見ないので、世の中から遠く切り離されたような気持ちになるのが習慣となった。朝、ひとりお客さ …

額を叩いて頭蓋骨に伝わる振動をマイクで拾い、心臓の鼓動をスピーカーに通じて鳴らす。時々、身体をしならせて足元にあるシンバルを蹴る。身体のすみずみまで使った衝撃的なパフォーマンスをみたその日、私はあっけにとられて言葉を失っ …

朝、常連さんと窓の景色を眺めて世間話をするのが日課になりずいぶんと経つ。きっかけはコロナ禍。「ここは人がおらんからええなあ。」店としては複雑だが、よいひとときになっているのは嬉しい。海の風景に目をやり、静かに音楽を聴きな …

長島の東部には新良田という地名がある。浜辺が続き、冬になるとたくさんの渡り鳥が浅瀬でまどろむ。日差しをさえぎるものがなく、海と空を風がスカーっとぬけていく気持ちのよい場所だ。浜から北へ向かうとすぐに芝生がひろがる。かつて …

  岡山ブルーラインの虫明インターチェンジを下りると、虫明と福谷という地区に出る。東へ行くと虫明湾、漁船が並ぶ。少し歩くと、かつて本土と長島を行き来していた船着き場がある。1988年の5月に邑久長島大橋が本土と …

気がつけば、さざなみハウスにはいろいろなものが集まるようになっていた。店内を眺めて、数多くの人たちと出会ってきたなあとしみじみ思う。 長島愛生園の機関誌「愛生」も、さまざまな入所者と長年付き合ってこられた方が店に持ち込ん …

長島には愛生園ともう一つのハンセン病療養所、邑久光明園がある。大阪にあった公立の外島保養院が室戸台風の被害を受けて、1938(昭和13)年に長島で再建された。どうして二つの療養所が同じ島の中にあるのだろうと最初は疑問に感 …

長島という場所を知って一番初めに興味を持ったのは〝表現〟についてだった。 歴史館の2階で少年舎にいた子どもたちの詩を読み、驚かずにはいられなかった。こんなにも胸に響く言葉を編み出せる力の源は一体何だったのか。悲しさや怒り …

「盲導ラジオ」をご存じだろうか。愛生園では至る所にスピーカーが設けられ、番組が流れる。ラジオの音声は目の不自由な入所者が歩くときの〝道しるべ〟になっていたそうだ。ハンセン病の後遺症で失明した方は多く、かつては盲人会の活動 …

ハンセン病を発病して愛生園に来られた時期は人それぞれだ。社会生活を経てからの方がいて、子どものころから入所している方もいる。「未感染児童」として、発病した親御さんといっしょに来て園内で過ごすうちに発病した方も。 さざなみ …

さざなみハウスの店内の壁は青い。大きな窓から海風が入ってくると、より爽やかな空気に包まれ、そのたびに深呼吸をしたくなる。とっておきの空間だ。 福祉課の事務所だったころの壁紙は白色だった。それを青く塗り替えたきっかけは、ハ …

ことし7月、さざなみハウスがオープンして丸2年がたった。今ならすぐに常連さんの顔が思い浮かぶのだが、店を始めて間もない頃はどんな人がやって来るのか、皆目見当がつかなかった。その心配は愛生園入所者自治会の方々も同じだったよ …

長島ストーリープロジェクト第4弾。 さざなみハウスで一番の常連だった清志初男さんを見送る会の映像です。 2020.8.11に逝去して今日で一年。 さざなみハウスに清志さんが来ていた日々は、今から思うととてもかけがえのない …

「自分で店を切り盛りしたい」。胸の内で思いが強くなった数年前、私はこれといった職を持たず、いろんな人の仕事を手伝いながら日々を過ごしていた。そんなとき足を運ぶようになったのが、瀬戸内市にある国立ハンセン病療養所・長島愛生 …

最近は時間があれば光明園の方にも探索に出かけている。同じ長島の中にあるけど、愛生園とは成り立ちが全く違う。もともと大阪にあった外島保養院が室戸台風の被害を受けて長島に移転、それが今の光明園だ。会長のOさんに話を聞くと色々 …

T中さんの写真がたくさんさざなみにやってきた。会ったこともないこの人の写真を初めてみたのは、11月にあった愛生園の作品展。かつては愛生会館で大きく開催してたみたいだけど、今は日出会館の一角で、写真や短歌、絵画、木工、陶芸 …

Kちゃんと呼ばれるY中さんはコーギーのロリーを飼っている。その大きさは並みではない。小さな飼い主を自分のリードでグイグイ引っ張っぱるので、Y中さんはまるでマイケルジャクソンのようにのけぞっている。人をみると短い足で地面を …

長島の東の端には楯岩という絶壁があって、近くの平岩では入所者の釣りがさかんだったらしい。あらいそ、という地名も聞くけど、どれも今の地図には道がなくて新良田より東部は大きな森になっている。年末にNPOのK井さんが文化庁との …

1月に入ってしばらくは寒波で海が風に押されて、大きな波を次から次へとこさえては東へ向かってうねっていく。太陽の光が反射してすごく暖かそうにみえるけど、海の風というものは想像以上に冷たい。外を眺めていたらふと、夏の頃モーニ …

M井さんが両手で箱をかついで花器や壺などを持ってきた。彼は、かつて愛生園の入所者から譲り受けたものや不用品(だけど資料として価値があるもの)を自身で保管していて、これまでも歴代の「愛生」に様々な書籍、絵画、足踏みミシン… …

冷蔵庫にある使いさしの片栗粉を手にとった時、ふと思いついた。I岡さんのおかげでどんどん溜まっていく柿、これ揚げちゃえばいいんじゃない?ってわけで、すぐに柔らかく熟した柿をむいて片栗粉をまぶしてほいほいっと油の中に入れてみ …

  お昼の時間になると、ランチをお弁当で注文してくれる常連さんもちらほら増えた。だけど一方で、テイクアウトの容器をきっちりと揃えているわけではないので、カレーのような汁物をどうやっていれるかだとか、小さな入れ物 …

  秋になるとオレンジ色の実がたくさん実って、柿の木の存在感が一気に増す。愛生園の中を歩いてみてもやっぱりいたるところにあって、誰かが採ったりする気配もない。よし、さざなみで使おうと目論んでいたところ、看護部長 …

12月25日(金) 昨日の晩からあんこを炊いて、今日は朝から予約のおはぎをせっせと丸めた。 園内放送で玄米おはぎの宣伝をしたら、昨日I上さんがリハビリ終わりにやってきて「みんなに配るわ。」とたくさん注文していった。この人 …

田計珠実のどろあそび実験場2020.冬 〈project コレクション・どろ〉の 特別講演《なんでそんなん−ぬかつくるとこ-》 アートを活用した生活介護事業所「ぬかつくるとこ」代表・中野厚志さんをゲストに迎え、ぬかが取り …

大きな身体を車椅子に載せてやってくるK北さんは、かつてゲートボールの名選手だったらしい。クタッと年季が入った帽子をいつも被ってやってくる。白地に青いツバ、ゲートボールのワッペンがフロントの部分を鮮やかに、だけどすっきり飾 …

今年は愛生園創立90周年にあたるらしく、今日はその記念式典だった。 . . N尾会長がこないだ珈琲を飲みに来た時、挨拶原稿を考えていると教えてくれて、ポロッと「僕らに記念と言われてもなあ」と、呟いたのが心に留まった。&# …

8時にお店をオープンさせるのが億劫になるほど朝晩が冷えてきて、夏の空気をとっくに忘れてしまった。 . ランチのピークタイムにはキッチンの熱気で汗がダラダラ、ひと段落ついた時にスタッフと2人で飲む自家製の梅サワーが栄養ドリ …

さざなみ 歩く学校 「社会で揺らめく人の感情」  1回目は、対話の時間。 てつがくやさんの松川えりさん、愛生園自治会長の中尾伸治さん、歴史館学芸員の田村朋久さん、そしてさざなみ店主の鑓屋の4人で、コロナウィルスやハンセン …

8月4日 お越しいただき、ありがとうございました。 バーテンダー 園田浩也 DJ 岡本方和 森山幸治   大盛況で無事に月の道も見えてほっと一息。 次回もお楽しみに。。。  

江戸時代中期の儒学者、新井白石によって 編まれた詩〝虫明八景〝へのオマージュ。 八つの風景の詩をテーマに 画家、舞踊家、音楽家の三者が 〝偶然性〝に身を委ねながら交わってゆく。 in a Landscape 日時 202 …

「画家 K志H男が愛した カステラとさざなみのコーヒー、 いかがでしょーかあー?」   なんて、ちんどん屋のごとく軽やかに声をあげるは空想の私。実際はK合さんたちのサックス演奏による聖者の行進でK志さんが出棺す …

Draw The Sound 福江元太さんと樋口真規さんによる ギターとドローイングのライブ。 2020/6/21 (日) 長島アンサンブル “Draw The Sound” 福江元太profil …

オープン当初、いや、改装している時からずっとK志さんはこの店に足を運んでくれている。私が開店準備に長島へいくと、冷蔵庫には砂糖がジャリジャリまぶされたヤマザキのあんまきが必ず入っていたので、改装工事をしているU田さんとK …

店の由来が「さざなみ食堂」ということは、色んな人に話してきたと思う。店の名前を考えていた時に自治会のI田さんから長島にあった食堂の話を聞いて、さざなみ、という語感にピンと来た。同じく島の中にある「ライトハウス」という盲人 …

昨年の9月にオープンしてから馴染みのお客さんがさざなみにもできた。大体の好みは把握してきたし、喫茶店定番の「いつもの」を聞く頻度が増えてきたと思う。島の外から来るお客さんもいるし、島内の住まいから自分の車や園内のタクシー …

窓から瀬戸内海を眺めていると、頭の中の考え事がどっかに行ってしまうほど穏やかで平和な時間が流れる。潮が引き始める頃は特に静かで小さな波の音、姿は見えないけれど鳥があちこちで鳴いていて、ぬるい空気に染み入るような風がひんや …

 私はいつの頃からか「ハッピーエンドの裏側」にとても興味がいくようになった。主人公とヒロインが色んな物語を紡いで最後には一緒になる、そんな素晴らしい結末の一方で、涙したり、どうしようもないほどに胸を痛めている人がいる。フ …

               

まっくらやみのエンターテイメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のプロデューサー志村季世恵氏、アテンドを務める川端みきさんをお迎えし視覚をなくした世界だからこそ見えてくるものについて、トーク、演奏、ワークショップと盛りだ …