2月/長島ストーリープロジェクト

上を向いて枝を移り歩く鳥を眺めていたら、コッコッコッコッ、木肌をつつく音が振動となって木の下へ伝わってきた。初めてコゲラの存在に気づく。実は出会っていたかもしれないけれど、意識しないと輪郭って見えてこないもんだな。2月1日、備前焼かと思って近づいた狛犬は信楽焼だった。

 

 

不揃いのいちご、均一じゃなくてすいません、と農家さんの美意識に驚く。ツヤツヤのいちご見てたらデコボコなんて気にならないくらい愛くるしいのだけど。
コロナ禍で、経済なんて止まってしまえ、必要ない仕事なんてなくなればいいのにって考えたこともあったけど、自分の生活を紐解いていくと、不必要なものなんてこの世にないのでは?なんだか更に悩ましかった。風は吹くから桶屋が儲かる、世の中のからくりはややこしい。2月3日、それでも私は生活をする。

 

 

最近、国試が迫る看護学校の女子たちがちらほらと息抜きでやってくるので、あれもこれも何でも食べなって太っ腹な気持ちが芽生える。今日は小さな男の子がお母さんとお昼ごはんにやってきて、サービスのつもりで野菜スープを出したのだけど、彼は最後までそのスープに苦戦していた。これぞいらぬおせっかい、すまんよボクちゃん。2月5日、何事も空気と加減が大切。

 

 

どこも何ともないくらい健康だわ、と鍼の先生に言われてガッツポーズ。冷えが取れないつま先をさすりながら、刺さない鍼でツボはしっかり刺激してくれた。身体に纏う気を整える、という感覚が不思議で月に1回通っている。目が見えない先生との会話も面白い。2月8日、庭のはっさくをたくさんもらった。

 

 

潮が引いて来たら現れる小さな岩の先でよく鵜が羽根を乾かしているけど、今日は多分違う鳥。冬は渡り鳥がいるからいいなあ。2月13日、誰かとごはんを食べるのはありがたい。

 

 

最近、お茶を点てるというミッションが私に課せられた。長島陶芸クラブの抹茶碗を譲ってもらったからだ。素人でもできるからと、がしっがしっと伝わる熱意、これは実現させねばと奮うやつ。2月18日、小学生の頃の思い出が脳内カムバック。

 

 

循環、というのはいい言葉。ひとつスイッチを仕掛けると、ピタッ、ゴラッ、スイッチ♪(もう古いのか?)って感じで上手に勝手にテンポよく巡っていくのは気分がいい。贈与、交換、情けは人のためにならず。皆さんいつもありがとうございます。2月19日、時々、クジラみたいな手掛島。

 

 

 

posted : 2021.02.28
喫茶店の日々 長島を歩く さざ波立つ人たち