カキの天ぷら。

冷蔵庫にある使いさしの片栗粉を手にとった時、ふと思いついた。I岡さんのおかげでどんどん溜まっていく柿、これ揚げちゃえばいいんじゃない?ってわけで、すぐに柔らかく熟した柿をむいて片栗粉をまぶしてほいほいっと油の中に入れてみる。お出汁がないので塩をぱぱっとかけて食べてみるとほらね、やっぱりおいしい。周りのみんなにも配って食べてた時に、ハッッ!!と思い出したのは、料理屋の天扇に行った次の日のK志さんのこと。

「天扇の大将はね、いつもびっくりするようなもの出してくれるのよ。」
「昨日はカキの天ぷらが出てな。それも海の牡蠣じゃないよ~。山の柿よ!」と大げさに横に手を振り、うまいね~と目元をくしゃっとして笑うK志さんを思い出す。私が柿を揚げたのは啓示だったのかもしれない。ふと思い出させるのがうまいねえ。

posted : 2021.01.03
喫茶店の日々 長島を歩く さざ波立つ人たち