初めての水泳。

喫茶店の日々

1月に入ってしばらくは寒波で海が風に押されて、大きな波を次から次へとこさえては東へ向かってうねっていく。太陽の光が反射してすごく暖かそうにみえるけど、海の風というものは想像以上に冷たい。外を眺めていたらふと、夏の頃モーニングに来たBさんが子供時代の水泳授業の話をしてくれたことを思い出す。

 

Bさんは小学校三年生の頃、長島へやって来ることになった。当時はガキ大将だったけど、先にいた大人たちに囲まれてあっという間にしゅんと大人しくなったそうだ。ある時、授業で泳ぐ練習をすることになり、海へ向かうことに。もちろん当時にプールはないし、愛知県出身のB少年は海で泳いだ経験もない。船に乗せてもらい、船の揺れを楽しんでいたら気づけば沖、大人になって思い返せば簡単にわかることだが、当時のB少年はこれから何が起こるかわからなかった。船に同乗していた大人が、子供たちを次から次へと海に放り込む。突然の水泳授業がスタート、B少年はこんな風にして大人たちにしごかれてきた。22歳で大阪に出て、免許を取って経験を偽ってトラックの運転手をしていたらしいけど、たくさんの大人に囲まれた経験が人間関係にしっかり役に立ったらしい。今でもその時の仲間とは焼肉やカラオケに出かけるそうだ。噺家みたいに話すBさんを思い出しながら、目の前の海に船と子供たちを想像して浮かべてみる。昔の人はたくましい。

 

posted : 2021.01.17
喫茶店の日々 長島を歩く さざ波立つ人たち